「エステティックの衛生基準」


「エステティックの衛生基準」
注意事項

1 衛生管理基礎知識の習得

 
エステティック営業施設で業務を行う者は、以下の衛生管理に関する知識を習得すること。

① 衛生管理

 
・目的
・病原微生物
・感染経路

② 感染対策

 
・病原微生物の侵入防止
・侵入した病原微生物の除去
・主な感染症とその対策


2 衛生管理体制の構築

① 衛生管理要領

1)
開設者は施設及び取扱い等に係る具体的な衛生管理要領を作成し、従業者に周知徹底すること。


② 衛生管理責任者

1)
開設者は施設ごとに衛生管理責任者を定め、エステティックが衛生的に行われるように、常に従業者の衛生教育に努めること。

2)
開設者は施設ごとに定めた衛生管理責任者に対して衛生管理に関する適切な研修を実施すること。

3)
衛生管理責任者は、開設者の指示に従い責任をもって衛生管理に努めること。

4)
衛生管理責任者は常に従業者の健康状態について毎日確認し、従業者が感染性の皮膚疾患にかかったときは、当該従業者の施術をただちに禁止し、当該疾患が治癒するまで施術に従事させてはいけない。また以下の症状がある場合は、受診させるなど適切な処置をとること。(発熱 嘔吐 下痢 腹痛 発疹 咳など)

5)
衛生管理責任者は、毎日、エステティック営業施設の施設、設備、器具等の衛生全般について点検管理すること。


3 衛生的取扱い

① 手指衛生

1)
開設者は、施術室内及び施設内の適切な箇所に従業員専用の流水装置の手洗い設備を設けること。

2)
手洗い設備は、流水装置とし、手洗いに必要な石ケン・消毒液等を備え、清潔に保持し、常に使用できる状態にしておくこと。

3)
施術前と施術後を除き、目に見える汚れがない通常の手指衛生は、速乾性擦式消毒剤による消毒を行うこと。

4)
施術前と施術後及び目に見える汚れがある場合には流水を用いた衛生的手洗いを行った後、速乾性擦式消毒剤による消毒を行う。手指の洗浄後は、清潔なタオル、使い捨てのペーパータオル等で拭き取ること。
衛生的手洗いは、手洗い手順イラストに従って行うこと。


② 環境

1)
施設内で使用する石油、ガスの燃焼による暖房器具または給湯設備は、密閉型または半密閉型が望ましい。
やむを得ず開放型の暖房器具(室内空気を使って燃焼し、排気を室内に出す)を使用する場合は、特に換気に注意すること。

2)
施術室内の環境は以下のとおりとすること。

施術室内の室内環境
照度300LUX
以上
施術中の施術面 300LUXの目安 30W蛍光灯2本 リラクセーション目的でやむを得ず照度を落とす場合は、施術前後に300LUX以上で施術面の観察を行うこと
二酸化炭素濃度1,000ppm
以下
倦怠感、頭痛、息苦しさ等があったらすぐ換気
一酸化炭素濃度10ppm
以下
軽度の頭痛を感じたらすぐ換気
浮遊粉塵0.15㎎/㎡ほこりやカビなどが原因 清掃を徹底する湿度が高くなりやすい施術室の家具は、真菌が増殖しやすい木製ではなく、プラスチック製、金属製が望ましい。
室温17~28℃目安とする 温度計で適宜確認
相対湿度40~70%目安とする 湿度計で適宜確認施術室はスチーマーなどの影響で相対湿度が高くなりカビが発生するおそれがあり、施術を行っていない時間に集中的に換気するなど相対湿度の管理に注意すること

3)
施術室内には、不必要な物品等を置かないこと。

4)
施術室内をねずみ及び昆虫等が生息しない状態に保つこと。
病原微生物を媒介する恐れのあるねずみ、ゴキブリ、ハエ、蚊、ノミ、シラミ、ダニ等に特に注意し、生息していたら適切に駆除する。


③ 清掃


1)
施設は必要に応じ補修を行い、1日1回以上清掃し、衛生上支障のないようにすること。

2)
排水溝は、廃棄物の流出を防ぎ、排水がきちんと行われるよう、必要に応じ補修を行い、1日1回以上清掃を行うこと。

3)
器具等を洗浄消毒する洗い場は常に清潔に保持し、汚物が蓄積し、又は、悪臭等によりお客様に不快感を与えることのないようにすること。

4)
施術室内の壁、天井、床は、常に清潔に保つこと。

5)
消毒済みの器具類、タオル類、その他の用具類の保管場所は少なくとも1週間に1回以上清掃を行い、常に清潔に保つこと。

6)
照明器具は少なくとも1年に2回以上清掃するとともに、常に適正な照度維持に努めること。

7)
換気装置は定期的に点検・清掃を行うこと。

8)
トイレは常に清潔に保持し、定期的に殺虫および消毒すること。
トイレ掃除に使用する雑巾は使い捨てが望ましいが、再利用する際は使用後消毒すること。消毒は汚れを落とした後で0.02%次亜塩素酸ナトリウム(有効塩素濃度200ppm)で消毒することが望ましい。

9)
清掃用具は専用の場所に保管すること。
再利用する雑巾は、きちんと洗浄し乾燥させること。


④ 器具及びタオル類の取り扱い


1)
器具類及びタオル類は、十分な量を備えること。

2)
皮膚に接する器具類は、お客様一人ごとに消毒した清潔なものを使用すること。

3)
皮膚に接するタオル類は清潔なものを使用し、お客様一人ごとに取り替えること。

4)
皮膚に接するタオル類、器具類は使用後に洗浄し、消毒すること。施術直後に洗浄できない場合は、使用済みのタオル類、器具類を収納するふた付きの容器に収納すること。

5)
施術に伴って生ずる廃棄物はふた付きの専用容器に入れ、適正に処理すること。

6)
洗浄および消毒済みの器具類は使用済みのものと区別して、清潔で乾燥したふた付きの収納ケース等に保管すること。

7)
お客様用の上掛けは使用目的に応じて区別し、清潔なものを使用すること。(白色又はこれに近い色で、汚れが目立ちやすい上掛けを使用することが望ましい)

8)
皮膚に接しない器具であっても汚れやすいものは、お客様一人ごとに取り替え又は洗浄し、常に清潔にすること。

9)
感染症もしくはその疑いのある者又は皮膚疾患のある者を扱ったときは、施術終了後従業者の手指や使用した器具等の消毒を厳重に行うこと。

10)
エステティックの施術に電気及びガス器具を使用するときは、使用前に十分にその安全性について点検し、使用中も注意を怠らないこと。

11)
医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律による承認を受けた医薬部外品又は化粧品は、適正に使用し、その安全衛生に十分留意すること。

12)
営業施設内に浴室又はサウナ室を設ける場合には、公衆浴場法の規定によること。


⑤ 消毒方法


1)
使用済みの器具類の洗浄・消毒をする前に使い捨て手袋、エプロン等を装着すること。
水撥ねによる感染を防止するためにマスク、ゴーグルをすることが望ましい。

2)
皮膚に接する使用済み器具類は、使用後流水で流す→洗剤をつけたスポンジ等で器具類の表面をこする→流水(10秒以上、1ℓ以上)で流す手順で洗浄し汚れを落とした後以下のいずれかの方法で消毒すること。消毒液を使用した場合、消毒後流水ですすぎを行うこと。
有機物(汚れ)が残っていると消毒の効果が低下する場合があるので洗い残しがないようにする。

3)
●血液・体液が付着した可能性のある器具類

 
⑤-2)流水洗浄後以下のいずれかの方法で消毒すること。

 
熱水による消毒は80℃で10分とする。
プラスチックは熱で変形するものがあるので注意すること。

 
0.1%次亜塩素酸ナトリウム液(有効塩素濃度1000ppm)中に10分間浸すこと。
金属器具及び動物性繊維製品は腐食、プラスチックやゴムは劣化の可能性があるので、使用する場合は、必要以上に長時間浸さない、消毒後すぐに洗い流す等取扱に注意すること。また、発する蒸気で目や呼吸器系に刺激性を有することがあるので蓋つき容器を使用すること。

 
76.9v/v%~81.4v/v%エタノール液(消毒用エタノール)中に10分間以上浸すこと。

 
煮沸による消毒は、沸騰してから2分以上は煮沸すること。
プラスチックは熱で変形するものがあるので注意すること。火傷を負う危険性があるので注意すること。

4)
●血液・体液が付着した可能性がない器具類

 
⑤-2)と同様に流水洗浄後以下のいずれかの方法で消毒する。

 
⑤-3)血液・体液が付着した可能性のある器具類の消毒方法

 
76.9v/v%~81.4v/v%エタノール液(消毒用エタノール)を含ませた綿もしくはガーゼで器具表面を拭くこと。

 
0.02~0.05%次亜塩素酸ナトリウム液(有効塩素濃度200~500ppm)中に1分間以上浸すこと。
消毒液は、購入後長期間保管せず、冷暗所に保管すること。

 
紫外線照射による消毒は、紫外線消毒器内の紫外線灯で、85μw/㎠以上の紫外線を連続して20分間以上照射すること。
構造が複雑で直接紫外線の照射を受けにくい形状の器具類の消毒には適さない。定期的に紫外線灯及び反射板を清掃すること。

 
蒸気消毒を行う際は、蒸気消毒器内が80℃を超えてから10分間以上湿熱に触れさせること。(温度計により器内の最上部の温度を確認することが望ましい。)
プラスチックは熱で変形するものがあるので注意すること。

 
0.1%~0.2%逆性石ケン(塩化ベンザルコニウム又は塩化ベンゼトニウム)液中に10分間以上浸すこと。

 
0.1%~0.2%両性界面活性剤液(塩化アルキルポリアミノエチルグリシン又は塩化アルキルジアミノエチルグリシン)中に10分間以上浸すこと。

5)
タオル類の消毒

 
●皮膚に接する使用済みタオル類は、以下の方法で消毒すること。血液や体液が付着したタオル類は、他のタオル類と別に消毒(洗濯前にも0.1%(有効塩素濃度1000ppm)液へ30分間浸漬を行う。)を行うか廃棄すること。
発する蒸気で目や呼吸器系に刺激性を有することがあるので蓋つき容器を使用すること。

 
熱水による消毒は80℃で10分とする。

 
使用済みタオル類は、「洗濯⇛すすぎ」の工程の後、0.02%の次亜塩素酸ナトリウム液に5分間浸漬する。

 
蒸気による消毒は、使用済みタオル類を洗剤で洗浄後、蒸気消毒器に入れ、器内が80℃を超えてから10分以上保持させること。この場合、器内の最上部のタオル等の中心温度が80℃を超えていないことがあるので蒸気が均等に浸透するように十分注意すること。


⑥ 吐しゃ物の処理(血液も同様)


(1)
十分な換気を行い、使い捨てマスク、エプロン、手袋を装着
使い捨て手袋は2重にする。


(2)
ペーパータオルで吐しゃ物を覆い、上から0.1%(有効塩素濃度1000ppm)次亜塩素酸ナトリウム液を振りかける。
消毒薬は、吐しゃ物と同量程度


(3)
新しいペーパータオルで外側から内側に向けて吐しゃ物を除去し、ビニール袋に入れる。
吐しゃ物の除去が終わったら上側の手袋を取りビニール袋に入れる。


(4)
吐しゃ物を取り除いた床面にペーパータオルを広めに敷き詰め、0.1%(有効塩素濃度1000ppm)次亜塩素酸ナトリウム液を振りかけ、そのまま10分おいた後取り除き吐しゃ物を入れたビニール袋に入れる。


(5)
0.1%(有効塩素濃度1000ppm)次亜塩素酸ナトリウム液に浸したペーパータオルで床面を拭く。
スリッパや靴の裏も消毒する。


(6)
新しいペーパータオルで水拭きする。
エプロンや手袋など使用したものを吐しゃ物を入れたビニール袋にいれ、口を閉め、新しいビニール袋に入れ袋を二重にして口を閉め廃棄する。


(7)
最後に石ケンで手洗いし、マスクを外す。


⑦ その他の消毒

1)
間接的に皮膚に接する器具類についても、その材質に応じて上記に掲げた消毒方法のいずれかの方法により消毒すること。

2)
エステティック施設の施設、汚物箱等の設備については、適宜、消毒すること。


4 健康状態の把握


1)
従業者は常に爪を短く切り、身体及び頭髪を清潔に保ち、お客様に不潔感、不快感を与えることのないようにすること。顔面施術時には清潔なマスクを使用すること。

2)
従業者またはその同居者が「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律」(以下感染症法という)における一類感染症、二類感染症、三類感染症及び新型インフルエンザ等感染症の患者又はその疑いがある場合は、従業者当人が感染していないことが判明するまでは、施術に従事させてはならない。

3)
感染症法における四類感染症 五類感染症等の感染症にり患している場合は、適切な感染防止対策を行うこととする。

4)
開設者は従業者に定期的に健康診断を受診させ、健康状態を管理しておくこと。


5 健康被害防止対策


1)
従業者はエステティック施術を行うにあたり、事前に感染症及び皮膚疾患等の治療中か、アレルギー体質か、薬を服用しているか、敏感肌であるか、その他エステティック施術を受ける障害のないことを、お客様に確認すること。

2)
従業者は、お客様がエステティック施術期間中に体調を崩したり、施術部位に異常が生じたりした場合、直ちに施術を中止し、医師の診察を受ける等の適切な処置を実施すること。

6 施設・構造


1)
施設は、隔壁等により外部と完全に区分されていること。

2)
施設は、ねずみ及び昆虫の侵入を防止できる構造であること。

3)
施術室の床及び腰張りは、コンクリート、タイル、リノリウム、板等の不浸透性材料を使用し、清掃が容易に行える構造であること。

4)
施設には、施術を行う施術室及びお客様の待合所を設けること。施術室と待合所は、明確に区分されていること。
5)
適当な広さのタオルや器具等を消毒する洗い場を設けること。洗い場は流水装置とし、給湯設備を設け、器具類、タオル類等を消毒する設備又は機材を備えること。

6)
トイレは隔壁によって施術室と区分され、専用の手洗い設備を有すること。

7)
施設には、従業員の数に応じた適当な広さの、更衣等を行う休憩室を設けることが望ましい。

8)
施術室は、施術及び衛生保持に支障をきたさない程度の十分な広さを有すること。居住室、休憩室等の施術に直接関係ない場所から、隔壁等により完全に区分されていること。