衛生管理に関するQ&A

このQ&Aは、厚生労働科学研究費補助金(健康安全・危機管理対策総合研究事業)「エステティックにおけるフェイシャルスキンケア技術の実態把握及び身体への影響についての調査研究」で行った衛生管理に関する調査でエステティックサロンの皆様から頂いた質問等をまとめたものです。

サロンの規模が小さく、「器具・用具類の消毒方法」にある消毒方法すべてをそろえられません。
すべてそろえる必要はありません。目的は、サロンで使用しているお客様の肌に直接触れる器具・用具類を消毒することですから、その器具・用具類の材質に適した消毒方法を表の中から一つ選択して実行して下さい。消毒方法の中からエタノールや塩素系薬剤水溶液等幅広く使用できるものを選び、これらで消毒できる素材の器具・用具類で統一すると消毒方法を1種類準備すれば目的を達成できます。
機能性よりファッション性を重視した内装にしている関係上、消毒液による劣化が激しいものがあるが、どうしたらよいか。
プラスチックや金属には多くの種類があり、熱に強いもの弱いもの、酸性の薬品で変質しやすいものしにくいもの等それぞれ特徴があります。消毒を行う前にその素材がどのような特徴をもつのかを把握したうえで消毒方法を選択して下さい。(一般的には、変質しやすい素材でも消毒後きれいにふき取れば変質しにくいと言われています。)
素材が分からない場合は、メーカーに素材の特徴と最適な消毒方法を問い合わせみてください。
なお、木製の家具は、エタノール含有のカット綿でふき取り、布製のソファ等の場合は、カバーをかけ、適宜はずして洗濯消毒するようにしてください。
医薬品ではない除菌消臭効果をうたった市販品に効果は期待できるか?
除菌は菌量を減らすこと、抗菌は菌の増殖を抑えることを意味していて、いずれも消毒薬に求められている殺菌の効果はありません。個々の商品が機器等の消毒に適しているかどうかについては、薬局などにお問い合わせください。
スペースがなく蓋付きの容器を置けない、いちいち蓋をあけるのが面倒で蓋をあけたままにしている。
「消毒済」と「使用済み」の蓋付きの容器が必要なのは、消毒済みの器具類が浮遊する細菌等で汚染されないこと、使用済みの器具類を誤って再利用しないことや感染物質が拡散しないことが目的です。ですから、消毒済みの器具類は蓋付き容器もしくは扉が閉まる戸棚等への保管が望ましく、使用済みの器具類は消毒するまで蓋付きの容器に隔離する必要があります。例えば、スペースがないあるいは施術中にひと手間かけられない場合、一人のお客様への施術で使用する器具類を小分けして小さな容器に収納し、施術時に開封することでほかのお客様に使用する器具類は、安全に保管できます。このように目的を理解したうえで、業務の支障にならないような工夫をサロンごとで考えてください。
感染症を予防する対策を教えてください。
感染は、身体の中に細菌やウイルスなどが侵入することで起こります。感染症を予防するためには、身体の中に細菌やウイルスを侵入させないことが重要です。そのため、接触感染、空気感染、飛沫感染等主な感染経路のメカニズムを理解して対策を講じます。手に傷がある場合には手袋をする、施術前後に手洗いと手指の消毒をする、人が良く触る箇所やトイレ等の感染のリスクの高い場所の消毒を徹底する、インフルエンザなどの流行時期にはマスクをする、などを実行して細菌やウイルスの身体への侵入を防ぎましょう。室内の換気をこまめに行い、施術の際に皮膚に直接触れた器具の取扱いも慎重に行います。また、直接皮膚に触れる器具やタオル類を複数の人に使用しないようにしてください。虫を介して感染するものもありますので、サロン内に虫が発生しないように清潔に保つことも大切です。
 なお、感染症はご自身のお客様や他の従業員を介して、感染が広がる可能性があります。感染症にかかっている可能性がある場合には、速やかに医師の診察を受けてください。