フェイシャルスキンケアに関する健康被害の実態について

独立行政法人国民生活センターのPIO-NETで収集した2009年度から2011年度までに寄せられた苦情相談から「エステティックサービス」(PIO-NETで利用されている分類 以下同じ)に分類された「危害」の詳細について分析した。まず、「エステティックサービス」全体での危害の総件数は、1,945件(図1)で、3年間平均で1年間648.3件が報告されている。「エステティックサービス」の危害内容は、「皮膚障害」が3年間平均で年間270.0件(43.7%)を占め、次いで「熱傷」が3年間平均で年間116.3件(18.8%)となっていた。「その他の傷病及び諸症状」は、漠然とした体調不良や眼に関するトラブル等であった。(図2)

グラフ1
図1

グラフ2
図2

「エステティックサービス」の危害程度は、「医者にかからず」が3年間平均で年間173.3件(28.0%)、「治療期間1週間未満」が3年間平均で年間88.0件(14.3%)と合計261.3件(42.3%)、一方治療に3週間以上かかるケースが3年間平均で年間97.0件(15.7%)あった。(図3)

グラフ3
図3

「エステティックサービス」全体の45.9%にあたる3年間の平均297.3件/年が「美顔エステ」に分類されている。そのうち、美容師法上の美容師が行うべき施術であるとの見解が示されている「まつ毛エクステンション」と医薬部外品である「パーマネントウェーブ用剤」頭髪用パーマ液の目的外使用にあたる「まつ毛パーマ」、医師が行うべき施術とされている「アートメイク」については、本研究では対象外とした。本研究対象の「美顔エステ」の「危害」297.3件/年のうち「まつ毛エクステンション」「まつ毛パーマ」「アートメイク」に関係するものは、122.7件/年(41.3%)を占めた。対象は、3年間平均年間174.7件)「まつ毛エクステンション」等を除外した「美顔エステ」で生じた危害としては、「皮膚障害」(国民生活センターの定義:皮膚の発疹、かぶれ、湿疹、かゆみ、ひりひりする、皮膚が黒ずむ、シミができるなどの症状。目で見える範囲に前述した症状が出たもの。)に分類されているものが本研究対象の「美顔エステ」174.7件中3年間平均で年間123.3件(70.5%)となっているが、美顔エステで使用した化粧品が原因なのか、手技による刺激が原因なのか、あるいはもともと湿疹があったのか、日常使用している化粧品が原因なのかなどの正確な実態までは分からなかった。一方で、「熱傷」に分類されている危害は、3年間平均で年間18.7件(10.8%)その多くは機器によるものと判断できたが、そのほとんどが機種等の特定までは至らなかった。(図4)

グラフ4
図4

美顔エステの「皮膚障害」(123.3件)の危害程度は、「不明」(3年間平均年間44.0件38.6%)を除き(対象は79.3件)3年間平均で「医者にかからず」が37.0件(46.7%)、「治療期間1か月以上」が10.7件(9.0%)だった。「熱傷」は、年間平均18.7件と皮膚障害に比べると件数は少ないものの、「不明」(3年間平均6.3件)を除き(対象は12.4件)3年間平均で「医者にかからず」が2.0件(16.1%)、「治療期間1か月以上」が4.3件(34.7%)だった。(図5 図6)

グラフ6
図5

グラフ7
図6